2月14日。
それは俺達男子高校生にとって一年で一番熱い戦いの日だ。
誰が一番もてて誰がもてないのか。それが数と大きさではっきりと示される。最近とみに女子の間で人気急上昇中の俺の幼なじみ、潤一と俺との差をはっきりとさせるまたとないチャンス。
例年にもまして今年の俺はこの日に向けて気合いが入りまくっていた。

俺、友治と隣の家の潤一とは生まれる前からの幼なじみだ。
大人しくて泣いてばっかの潤一を俺はいつも兄貴分として可愛がって来た(同い年だけど)。

……ところが、だ。
ここ数年、どうもその立場が危うい。
潤一の奴、これまで大人しかった分遅い反抗期を迎えたのか、なにかと可愛くない。熱い友情で結ばれているこの俺を、どうも軽視する言動が目立つ。
こないだなんて、
「俺とお前は友達じゃねぇ、ただのくされ縁だ」
とかぬかしやがった。

これはいけない。いけないよー潤一君。
俺は潤一に生まれる前からの深っかーーーい縁で結ばれた俺達の友情をなんとしても思い出させてやらねばならないのだ。
その為には、だ。
最近とみに暴落気味の潤一の中での俺の株をここで急上昇させ、もう一度俺様のすばらしさを見直してもらう必要があるのだ。

……その為には、このバレンタインというイベントこそ打ってつけ……!!!
クラスの人気者、女友達は数知れずのこの俺、友治こそが今年もバレンタイン王の座を勝ち取って見せぇる……!!!

そしてそのチョコの数の前に、潤一よ、ひれ伏すがよいっ……!!!

「ハーッハッハッハ、ハァーッハッハッハ!」

バレンタイン当日の朝、俺は14日にでっかく丸をつけたカレンダーの前で勝利を確信し、腰に両手を置いたポーズで高笑いをした。

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